晒さないでください

某所からセルフ転載。




ドラマチックに魅せる手法はフィクションを感じさせる。グラスが割れて破片が飛びちる瞬間、架空の集中線の出現を想像する。日常をドラマに変えてみる。
実際にはグラスが割れるくらい大したことじゃない。だれかの苦痛や喜びは、別の誰かが同じように感じられるものではない。

日本の漫画は心理描写がうまい。漫符などの架空の表現を多用するため、誰もが容易く感情をえがくことができ、読者は容易くそれらを読み取る。

現実はそう単純ではない。心理はより複雑で、表情や声色や行動から読み取るしかない。驚きや困惑の汗は流れず、頬は大げさに染まらない。どれほど濁った心でいても目は潤んで輝く。降る雨は感情を一切含まない。

読者には、物語へいざなわれた傍観者になってもらい、見えたものをただ受け入れてもらいたい。